HARG療法の効果や副作用について

 
HARG療法とは、成長因子やビタミン、アミノ酸などを配合したHARGカクテルという液剤を注射器などを用いて頭皮と真皮の間に直接注入するAGAの治療法です。

内服薬や外用薬を用いたAGA治療に比べ、成長因子を用いてた比較的新しい治療法となるHARG療法についてご紹介します。

HARG療法とは

2006年にヨーロッパで成長因子を用いた注入療法が発表され、幹細胞を用いた薄毛治療の研究が注目されるようになりました。

その後、海外の医学会において“幹細胞培養の培養液の上清から成長因子が多く抽出できる旨の報告があり、世界各国でスキンケアや薄毛改善に使用されているます。

そして日本でも独自の研究が進み、*2008年に「日本医療毛髪再生研究会(Japan Hair Re-Generative Medical Association)」が発足。

この毛髪再生治療方法は、研究会の英語名「Hair Re-Generative」の略称からHARG(ハーグ)療法と名づけられました。

参考:

HARG療法の効果とメカニズム

HARG療法における発毛メカニズムの説明には、AGA発症機序の知識が必要不可欠ですので、まずは簡単に説明していきます。

AGAの基本的な機序

AGAは、頭髪の生え変わりサイクルであるのヘアサイクル(毛周期)が乱されることによって発症する脱毛症です。

体内に存在する男性ホルモンのひとつである「テストステロン」が、髪の悪玉男性ホルモンであるDHTに変換されたのち、男性ホルモン受容体である「アンドロゲンレセプター」と結合することによって髪の毛の元である毛母細胞の分裂を抑制します。

DHTとアンドロゲンレセプター

すると、ヘアサイクルにおける髪が太く長く成長する期間である「成長期」が短縮されてしまい、髪の毛は満足に成長しきれないまま成長を終えます。結果、細く短い髪の毛が増加することで薄毛が進行していくのです。

AGAのメカニズムについて詳しくはこちらをご覧ください。

AGAとは?薄毛になるメカニズムや原因と治療法

HARG療法のアプローチ

HARG療法は、AGAにより成長が阻害され細毛化された頭髪に対し、成長を促す治療です。

AGAを発症している場合、髪の毛はその成長期が正常なヘアサイクルよりも大きく短縮されていますが、HARG療法ではその薬剤に含まれる成長因子の働きにより毛髪の成長に対してアプローチをします。

ヘアサイクルについて詳しくはこちらをご覧ください。

ヘアサイクルとは ~AGAや薄毛との関係性~

HARG療法の成分と効果

では具体的なHARG療法に用いられる薬剤の成分や効果などについて解説します。HARG療法では「HARGカクテル」と呼ばれる特定の成長因子を組み合わせた薬剤を使用します。

なお成長因子とは、体内で特定の細胞増殖や分化促進といった働きをするタンパク質の総称です。「増殖因子」、「細胞増殖因子」と呼称される場合もあり、幹細胞の増殖に関わっていることも確認されています。その種類や働きは様々で、AGA治療だけでなく、女性のスキンケアなどにも利用されています。

このHARGカクテルは「AAPE(脂肪幹細胞の培養上清液を凍結乾燥した生体タンパク質)」と、髪の毛の成長に必要な栄養素を凝縮した「メソカクテル」から構成されています。

AAPEの中には毛包誘発効果のある成長因子や、髪の毛の再生を促進させる成長因子など150種類以上のタンパク質が含まれています。

AAPEは脂肪幹細胞から抽出された様々な成長因子を含有し、髪の毛の成長を誘発する効果や毛乳頭細胞や毛包の増加作用があるとされています。

AAPEの効果によって成長期の髪の毛の成長活動が活発化、AGAにより細毛化された髪の毛を太く長く成長させる効果が期待できます。

HARG療法のAAPEに含有される具体的な成分

HARG療法にて使用されるAAPEですが、脂肪幹細胞由来のタンパク質には様々な成長因子が含有され、頭皮や髪の毛の発毛・育毛を補助ることが期待されています。中でも髪の毛と関係性の深い代表的な成長因子は以下の通りです。

【KGF(ケラチン細胞増殖因子)】

毛母細胞の増加を促す成長因子。毛母細胞は発毛にとって非常に重要な成長因子であり、髪の毛を構成するケラチンを生み出すことで知られている。

【PDGF(血小板由来成長因子)】

髪の毛の成長期を維持するために必要不可欠な成長因子。

【VEGF(血管内皮増殖因子)】

血管内皮細胞の増殖や、頭皮の新たな血管を形成するために必要不可欠な成長因子。

HARG療法のメソカクテルに含有される具体的な成分

AAPEと共にHARGカクテルを構成するメソカクテルは、頭皮や髪の毛の成長・維持にとって、必要な栄養素を凝縮しています。

代表的な成分は以下の通りです。

【アミノ酸システイン】

髪の毛の成長に必要不可欠な栄養素。中でも体内で十分な量を合成できない必須アミノ酸は重要視されている。

【ビタミン】

体内で生成できない代表的な栄養素。特にビタミンA、C、Eなどには頭皮の健康を保つ作用が期待できる。ビタミンB2は頭皮の血行循環を整え、ビタミンFは不足すると頭皮の乾燥や髪の毛の痛みに繋がると考えられている。

【タンパク質】

人体にとってもっとも重要な三大栄養素の1つ。髪の毛はケラチンというタンパク質を主成分に構成されている。

HARG療法の治療方法

HARG療法は内服薬治療のように飲み薬を服用するわけではなく、HARGカクテルを頭皮に直接注入します。

広義では「注入治療」と呼ばれる治療法です。注入治療には様々な術式が存在し、専門のクリニックや美容皮膚科によって行われている術式は異なります。

術式によってAGAに対する効果の有無はほとんどありませんが、それぞれにメリットとデメリットが存在します。代表的な術式※は以下の通りです。

主な注入治療の種類

※スマートフォンでご覧の場合はこの表を横にスライドができます。

使用器具 方法と特徴 メリット デメリット
パピュール法 一般的な注射針を用いて薬剤を注入し、成分を浸透させる方法です。 治療の効果が出やすいとされています。 治療に痛みを伴います。
ダーマローラー法 針のついた医療用ローラーを使用し、頭皮全体に薬剤を浸透させる方法です。 注射針に比べ痛みが少ないとされています。 皮膚がデリケートな方は頭皮トラブルのリスクがあります。
エレクトロポレーション法 注射針を使用せず、エレクトロポーション(電気穿孔)により表皮細胞に微細な穴を開け、薬剤を注入する方法です。 痛みがほぼないとされています。 注射器を使用した方法に比べ効果を実感しづらい場合があります。
レーザー法 医療用のレーザーを用いて皮膚に微細な穴を開け、薬剤を注入する方法です。 痛みが少ないとされています。 効果の実感に個人差が出る場合があります。

(※専門のクリニックや美容皮膚科によって治療方法は異なります。詳細は各医院にお問い合わせください)

HARG療法の副作用

HARG療法に使用される成長因子や栄養素は、一般的に副作用の危険性は低いとされています。しかしまったく副作用の可能性がないわけではありません。

注入治療は頭皮に直接薬剤を注入するという特徴から、皮膚の炎症などの副作用が認められています。

注入方法によって異なりますが、治療後に痛みや痒み、発疹などの皮膚症状、また頭部の腫れや赤み、術後の一時的な痛みや内出血が報告されたケースもあります。

ですが、どれも軽度なものであり重篤な副作用は確認されていません。

HARG療法の治療期間と費用

HARG治療は一定期間の継続が必要です。治療の回数や期間は専門のクリニックや美容皮膚科によって差があり、治療を受ける方のAGA進行度によっても前後します。

一般的には4週間(約1ヵ月)に1~数度の治療を6回〜12ヶ月程度行います。個人差はありますが、平均すると4回〜5回目の治療後に効果を実感するケースが多いとされています。。

AGA治療は保険適用外の自由診療であるため、他のAGAの治療と同様に治療費は全額自己負担となります。

HARG療法の治療費の平均は半年で80万円〜180万円程度であることが多く、クリニックによってはコース治療の設定や追加のオプションプランが設定されている場合もありますが、治療価格に関してはクリニックより大きく異なる為、細かい費用設定に関しては直接クリニックにお問い合わせください。

HARG療法の安全性

HARG療法で使用されるAAPEは、培養中の脂肪幹細胞の上清液から抽出されたタンパク質です。

使用されるAAPEは濾過され混合物を取り除き、培養に使用された培地は洗浄・滅菌され衛生面に徹底的に配慮した環境で製造されているとされています。

ただし、AAPEが厚生労働省において保険の認可を受けていない治療法です。未認可の治療薬や成分は医師がその責任において治療に用いられます。

HARG療法を希望する場合は医師と相談し、きちんと効果・副作用・治療機関などを確認のうえ治療をうけましょう。

HARG療法と育毛メソセラピーとの違い

注入治療にはHARG療法とは別に「育毛メソセラピー」という治療方法もあります。「AGAメソセラピー」や「毛髪再生メソセラピー」など様々な名称で呼ばれる治療です。

使用する成長因子に違いがありますがどちらも類似した治療方法です。期待される効果や副作用に関しても類似する点が多いといって良いでしょう。

育毛メソセラピーについてはこちらをご覧ください。

育毛(AGA)メソセラピーの発毛効果や副作用について

HARG療法と投薬治療との比較

AGA治療にはHARG療法以外にも様々な治療方法が存在します。現在の治療方法の中で、もっとも広く浸透しているのは治療薬を服用する方法です。

具体的にはフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった内服薬や外用薬を使用する治療法を指しています。

厚生労働省認可済の治療薬は、日本皮膚科学会が定める「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」においてもっとも推奨度が高く、現状のAGA治療における第1の選択肢とされています。

治療薬を使用するメリットは治療に外科的負担がなくまた費用を抑えられる点です。

頭皮に直接注射器を刺したり切開することに抵抗感がある方や、治療費を無理のない範囲で抑えたい方にとっては大きな魅了でしょう。

服用経験者の数が多いため症例も豊富であり、効果のイメージを想像しやすい点も他の治療方法と比べ優れているといえます。

一方、HARG医療は高額な治療でなかなか第一選択としてのAGA治療法にはなりませんが、植毛と同じくAGAの進行状況や体質的に内服薬や外用薬で治療効果に満足できない人達にとって次なる選択肢と言えるでしょう。

AGAの内服薬治療に関して詳しくはこちらをご覧ください。

AGA治療における内服薬の効果と副作用について

銀座総合美容クリニックでは「常に患者さん目線でのクリニック運営」「患者満足度のより高いAGAクリニックを目指す」をクリニックの運営理念に掲げ薄毛に悩む患者様と日々真摯に向き合っており、無料カウンセリングを対面・オンラインともに常時承っております。


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記事の監修医師

正木 健太郎銀座総合美容クリニック 院長
【略歴】
・平成14年 岡山大学医学部卒
・平成20年 銀座総合美容クリニック 開院
【所属学会】
・日本形成外科学会 正会員
・日本臨床毛髪学会 正会員
・日本再生医療学会 正会員
・日本美容外科医師会 正会員

監修医師の詳細情報
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