FAGA(女性男性型脱毛症)とは?原因やメカニズムと治療法

 
女性の薄毛の代表的な薄毛の症状の1つがFAGA(Female Androgenetic Alopecia)と呼ばれ、女性男性型脱毛症を指します。FAGAは加齢や過度なストレスなどにより体内の男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れること原因で髪が薄くなる女性の薄毛の症状の1つです。

近年では女性の社会進出が急速に進んだことで、以前に比べて食生活や睡眠時間などの生活環境が目まぐるしく変化し、仕事での人間関係などでストレスの影響を受けやすくなりました。それに伴い女性もFAGA(女性男性型脱毛症)などによる薄毛の症状に悩む方が増加傾向にあります。

今回は女性の薄毛の代表的な症状の1つであるFAGAに関して詳しく解説をしていきます。

FAGA(女性男性型脱毛症)とは

FAGAとはFemale Androgenetic Alopecia(女性男性型脱毛症)の略称で、体内のホルモンの影響により髪が薄くなる女性の薄毛の症状の1つです。加齢やストレスなどの影響で体内の男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れることで、ジヒドロテストステロン(DHT)よ呼ばれる男性ホルモンが正常な髪の毛の成長サイクル(ヘアサイクル)を乱すことで、毛髪の成長期間を短くなり薄毛の症状が進行していきます。

ヘアサイクルについて詳しくはこちらをご覧ください。

これは男性の代表的な薄毛の症状であるAGA(男性型脱毛症)と同じ原因とメカニズムにより女性も髪が薄くなる症状です。

FAGAの症状

FAGA(女性男性型脱毛症)は男性の代表的な薄毛の症状であるAGA(男性型脱毛症)と同じ原因とメカニズムにより髪が薄くなりますが、その症状や進行パターンは男性とは大きく異なります。

FAGA(女性男性型脱毛症)の初期症状としては細く髪の抜け毛が増え始め、次第に髪の生え際や頭頂部、髪の分け目を中心に髪の毛が薄くなり頭皮(地肌)が露出します。FAGA(女性男性型脱毛症)は男性のAGA(男性型脱毛症)のように、顕著に前頭部(生え際)や頭頂部にかけて髪が薄くなるといった特徴のある髪の脱毛パターンではないケースも多く、FAGA(女性男性型脱毛症)の症状が進むと頭髪全体が薄くなる傾向があります。

その為、女性の場合は、薄毛の原因はFAGA(女性男性型脱毛症)なのか、または別の疾患との合併脱毛かなど原因の特定が非常に難しい為、必ず医師の診察を仰いだ上で治療を開始しましょう。

FAGAの脱毛進行パターン

AGA(男性型脱毛症)における脱毛の進行パターンはハミルトン・ノーウッド分類にて進行度が分けられていますが、女性の場合はルードヴィヒ分類と呼ばれる薄毛の進行分類方法を用います。

FAGA(女性男性型脱毛症)のルードヴィヒ分類

1.ルードヴィヒ分類Ⅰ型:頭頂部の毛髪が細くなり、分け目が目立つ
2.ルードヴィヒ分類Ⅱ型:Ⅰ型よりも頭頂部全域が薄くなり、地肌も目立つようになる
3.ルードヴィヒ分類Ⅲ型:頭頂部の薄毛がさらに進行し、地肌が露出する

FAGA(女性男性型脱毛症)を発症すると1本の髪の毛は2年~6年かけて太く長く成長する通常のヘアサイクルがホルモンによって、乱されて短くなることで、細く短い髪の毛しか生えてこなくなります。その為、FAGA(女性男性型脱毛症)の症状の特徴として、全体的に毛髪が細く痩せた状態になってしまい、ボリュームが出せなくなることで頭皮の地肌が見え始めてしまいます。

FAGAの原因

FAGA(女性男性型脱毛症)の原因は男性ホルモンが5αリダクターゼと結合してDHT(ジヒドロテストステロン)へと変換、そしてDHTが毛乳頭細胞に脱毛指令を出して抜け毛が増えることが原因です。

この仕組みは男性のAGA(男性型脱毛症)と全く同じですが、その発症時期は男女で大きく異なります。男性の場合は思春期を迎え男性ホルモン量が増加し、早ければ20代前半で抜け毛が増えて薄毛に悩む方もいます。しかし女性の場合は加齢などの影響で女性ホルモン量が減少することで、相対的に男性ホルモンの影響を受けやすくなる40代から更年期以降の女性に発症が多くなる傾向があります。

AGAのメカニズムについて詳しくはこちらをご覧ください。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

なお、女性ホルモンであるエストロゲンには髪のハリやコシを出す働きや、毛髪の成長を促す作用があり髪の成長にとって非常に重要なホルモンです。

このエストロゲンの減少は加齢だけでなく、過度なストレス、睡眠不足などの自律神経の乱れなどによっても分泌量が減少してしまうことが分かっているので、もちろん10代~20代といった若い女性でもFAGA(女性男性型脱毛症)を発症する可能性は十分にあります。

FAGAの治療方法

では具体的に病院でFAGA(女性男性型脱毛症)を治療する場合に、代表的な3つの治療を解説していきます。

FAGA治療法1:スピロノラクトン

FAGA(女性男性型脱毛症)を引き起こすDHT(ジヒドロテストステロン)へと変性させないために、多くのクリニックでスピロノラクトンという錠剤を内服薬として処方しています。スピロノラクトンはもともと抗アルドステロン薬として多くの内科で処方される薬です。本来は尿量を増やして体内の塩分と水分を排出させてむくみを取り、血圧を下げる作用があります。主にさまざまな病気で生じるむくみを治療するのに用いられる薬ですが、女性の薄毛治療や、にきび治療にも使用されます。

体内の水分量を増やし、血圧を上げるアルドステロンという男性ホルモンが、レセプターと結合する働きを抑制するのがこの薬の作用機序です。このアルドステロンとよく似た構造のアンドロゲンという男性ホルモンがレセプターと結合するのも抑制します。このアンドロゲンのなかには、AGAの原因としても知られているジヒドロテストステロンなども含まれている為、抜け毛やFAGAの予防の効果が期待できます。

もともとは利尿薬の目的があることから、のどの乾きを感じる場合があります。また、血圧を下げる作用もあるので、高血圧ではない方が服用するとふらつくなどの症状もまれにありますので、運転をしている方は特に注意が必要です。男性ホルモンに働きかける薬ですので、場合によっては女性の場合は、女性ホルモンと男性ホルモンのバランスが崩れて、月経不順や乳房痛を引き起こすこともありますが、医師の診察で年齢や症状によって、配合量を適宜増減することが可能です。

スピロノラクトンについて詳しくはこちらをご覧ください。

FAGA治療法2:ミノキシジル

ミノキシジルは血管を拡張させる作用があることから、高血圧の方に降圧剤としてアメリカの製薬会社によって開発された経緯を持っています。しかし副作用として全身にわたる多毛症が発覚したため、発毛薬として転用されました。ミノキシジルには直接頭皮に塗布するタイプの外用薬と、経口投薬によって治療する内服薬の2タイプあり、FAGAの治療だけでなく男性のAGA(男性型脱毛症)の治療薬としても用いられる薬です。

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版では女性の場合、ミノキシジル外用薬の推奨濃度は1%となっています。男性の推奨濃度の5%に比べると低い濃度ですが、ミノキシジル5%を塗布した場合と、2%を塗布したときを比べて若干発毛数が多かったものの、両者の間に有意差は見られていません。そのため、女性のFAGA治療でミノキシジルを選択する場合は、あえて濃度の高いものを塗布する必要がないのです。

ミノキシジル外用薬について詳しくはこちらをご覧ください。

ミノキシジル内服薬に関しては、AGA(男性型脱毛症)同様、男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは、十分な臨床試験を実施していないため推奨されていませんが、医師による処方であれば服用が可能です。

ミノキシジル内服薬について詳しくはこちらをご覧ください。

ただ、ミノキシジルにおいては体毛が濃くなる副作用が認められている為、女性の場合は特に注意が必要です。FAGA治療においては医師の説明及び相談の上で、服薬をしてください。

FAGA治療法3:育毛メソセラピー

メソセラピーとは、頭皮や頭髪にとって必要な栄養素や、有効な成分などを直接頭皮に注入する治療方法です。針を使うメソセラピーと、針を使わないノーニードルメソセラピーの2種類あります。

育毛メソセラピーについて詳しくはこちらをご覧ください。

FAGAの予防

FAGA(女性男性型脱毛症)を予防するためには、女性ホルモンのバランスを保つことが重要なポイントになります。睡眠時間や食生活、ストレス解消や運動をおこなうなど、日々の生活で予防することも大事です。今からでも手軽に出来るFAGA(女性男性型脱毛症)の予防法を3つ紹介します。

FAGA予防法1:睡眠時間の確保

睡眠が大切な理由は肌をきれいに保つことや疲労回復にも必要とされる成長ホルモンが、睡眠中に分泌されると言われているからです。成長ホルモンは主に、IGF-1を介して細胞の増殖や代謝促進などに作用しています。細胞の増殖をおこなうことで毛髪の成長を促してくれる必要な物質です。理想としては午前0時にはベットに入り6~8時間の睡眠時間を確保しましょう。それにより自律神経を整えFAGAの予防や毛髪の成長をサポートすることが出来ます。

FAGA予防法2:バランスの良い食事

毛髪を作るために必要なケラチンや、女性ホルモンのエストロゲンを増やす食べ物などを積極的に摂取していくのがよいでしょう。何か一つの食べ物を食べればよい、というわけではありませんので、バランスのよい食事を摂取することを心がけていくことが大切です。大豆由来食品や魚などの動物性たんぱく質、野菜などからビタミン類などを幅広くバランスの良い栄養素を取り込むことでFAGAの予防や毛髪の成長のサポートをすることが出来ます。

FAGA予防法3:適度な運動

自立神経の乱れによっても女性ホルモンの分泌量が減少しFAGAを発症する可能性があります。特に現代社会においては規則正しい生活だけでなく適度なウォーキングやランニングなどで運動不足を解消することで自立神経を整えることが出来ます。女性ホルモン分泌の正常化を促すことでFAGAの予防にもつながります。

FAGAとFPHLのと違い

多くの女性の薄毛はFAGA(女性男性型脱毛症)であると考えられてきました。しかし男性ホルモンだけでは、女性に関する薄毛の病態が説明できないことも多いため、2017年版の男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは、女性の薄毛のことをFPHL(female pattern hair loss)、男性ホルモンによる脱毛症のことをFAGA(女性男性型脱毛症)と分けるようになりました。

FPHLの分類のなかにはFAGA(女性男性型脱毛症)だけではなく、円形脱毛症や牽引性脱毛症、分娩後脱毛症など、女性に関する脱毛症が含まれます。

果物でたとえるなら、フルーツという果物全体を表す言葉がFPHLで、その果物の中でリンゴなど個体を指す言葉がFAGA(女性男性型脱毛症)です。

● FAGA:男性型脱毛症(AGA)を女性が発症すること
● FPHL:女性の脱毛症全体のこと(円形脱毛症・牽引性脱毛症・分娩後脱毛症・FAGAなど)

FPHLについて詳しくはこちらをご覧ください。

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FAGAを治療するにあたり

髪の毛の生え変わり(ヘアサイクル)には寿命があり、AGA同様に症状が発症してから対策や治療を始めるまでの時間が遅くなるほど元の毛量に改善する確率が下がってしまう為、早めに治療することが非常に重要です。

抜け毛が増えた、また分け目が目立ってきたかもしれないと感じているのであれば、早めに一度医師に相談しましょう。

記事の監修医師

正木 健太郎銀座総合美容クリニック 院長
【略歴】
・平成14年 岡山大学医学部卒
・平成20年 銀座総合美容クリニック 開院
【所属学会】
・日本形成外科学会 正会員
・日本臨床毛髪学会 正会員
・日本再生医療学会 正会員
・日本美容外科医師会 正会員

監修医師の詳細情報