AGA治療の副作用とリスクについて

 
AGA(男性型脱毛症)には効果が実証されている様々な治療方法が存在します。しかし、治療や薬剤には副作用やリスクが存在することも忘れてはいけません。今回は、AGA治療において想定される副作用やリスクについてまとめました。

AGA治療薬の副作用とリスク

広義の副作用の定義は「主作用でない作用」であり、その作用が必ずしも人体にとって有害な事象とは限りません。

しかし、狭義の副作用の定義は「好ましくない薬の作用」で、一般的に副作用と表現される場合の多くはこちらを示していることが多いでしょう。

この記事で使用している副作用の定義は好ましくない薬の作用をさしています。

フィナステリドの副作用

2005年に厚生労働省に認可を受けた国内初のAGA治療の内服薬です。有効成分にフィナステリドを配合し、「プロペシア」という製品名で発売されました。

現在でもAGA治療における有効な治療薬として処方されているフィナステリドですが、副作用も報告されています。

プロペシア内服薬について詳しくはこちらをご覧ください。

ガイドラインにおける報告

治療薬は、効果や作用を確認するために様々な試験や実験が行われています。日本皮膚科学会が発行する「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」にはフィナステリド服用における副作用の内容が記載されています。

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(以下「ガイドライン」と表記)について詳しくはこちらでご覧ください。

フィナステリド(1mg/日)を用いた374名の日本人男性被験者を対象とした観察期間2年間の非ランダム化比較試験において、性機能に関する副作用はなく、重要な副作用としてまれに肝機能障害があらわれています。

添付文書の記載

プロペシア(有効成分フィナステリド)の添付文書には、48週間の二重盲検比較試験※1の結果において、安全性評価対象276例中11例(4.0%)に14件の副作用が認められ、主な症状にはリビドー減退※23例(1.1%)、勃起機能不全※32例(0.7%)等があると明記されています。

また、使用成績調査(治療薬の販売後、3年間かけて行う医薬品の使用実態調査。副作用の発現状況や品質・有効性の調査が目的で行われる)では、943例中5例(0.5%)に5件の副作用があり、具体的な症状にはリビドー減退2例(0.2%)、肝機能障害2例(0.2%)等が認められています。重要な副作用には、ガイドライン記載の臨床試験と同様、頻度不明ながら肝機能障害が報告されています。

その他の副作用としては、過敏症(蕁麻疹・発疹など)、生殖器における睾丸痛、精液の質低下、また乳房圧痛、乳房肥大、抑うつ症状、めまいなども確認されています。

※1「二重盲検比較試験」
新薬の効果・有効性を確認するために行われる一般的な治験方法。被験者を2分割し、被験薬と偽薬を投与して比較する。薬剤に対する先入観や評価、体の反応などに客観性を担保するため、医師を含めた知見実施関係者すべてが具体的な薬剤の情報を知らずに行われる。

※2「リビドー減退」
性欲が減少すること。原因には心理的要因(ストレス等)、薬剤の副作用などがあげられる。

※3「勃起機能不全」
性行為において勃起することおよび十分な期間の維持ができない状態が続くこと。症状の現れ方にはいくつかのケースがあり、有病率は年齢に比例して高くなるといわれている。

デュタステリドの副作用

2015年に厚生労働省から製造販売承認を受けた治療薬です。有効成分デュタステリドを配合し、「ザガーロ」という製品名で販売されています。有効成分フィナステリドを含有するプロペシアに次ぐ治療薬であり、AGAの抑制効果が認められています。

デュタステリド内服薬について詳しくはこちらをご覧ください。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

ガイドラインにおける報告

国内非ランダム化試験(120例、52週間)では、リビドー減少8.3%、インポテンツ11.7%、 射精障害5.0%の副作用が認められ、比較的高率であったと結論づけられています。

添付文書の記載

デュタステリド承認時の相国際共同試験における結果です。総症例557例(日本人120例を含む)中、95例(17.1%)に臨床検査値異常を含む副作用が確認され、勃起不全24例(4.3%)、リビドー減退22例(3.9%)、精液量減少7例(1.3%)が主要な副作用として報告されています。

上述の試験中で、日本人120例中には臨床検査値異常を含む副作用が報告された症例は14例(11.7%)。主要なものはリビドー減退7例(5.8%)、勃起不全6例(5.0%)、射精障害2例(1.7%)でした。

また、重要な副作用として頻度不明ながら肝機能障害および黄疸が確認されています。

その他の副作用としては、過敏症(蕁麻疹、アレルギー反応など)、頭痛、めまいといった精神神経系の症状、乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)、多毛症、腹痛・下痢などの消化器系の症状などが認められています。

ミノキシジル外用薬の副作用

頭皮に直接塗布することによって発毛を促進する治療薬です。「降圧剤」として開発された後に発毛剤としての効果が認められ、日本では1999年に大正製薬から「リアップ」という製品名で発売されています。

ミノキシジルは一般用医薬品として認可されている治療薬であり、第一類医薬品に分類されています。フィナステリドやデュタステリドと異なり、薬剤師がいる薬局薬店で購入することができます。

ミノキシジル外用薬について詳しくはこちらをご覧ください。

ガイドラインにおける報告

ミノキシジルの有害事象として、2%および 5%のミノキシジル液を比較した393名の男性被験者対象の、観察期間48週ランダム化比較試験の内容が報告されています。結果として、瘙痒、接触皮膚炎といった皮膚症状の出現率は、濃度5%ミノキシジルで6%の出現、濃度2%ミノキシジルで2%の出現が確認されています。また、※男女共通の有害事象として紅斑、落屑、毛包炎、顔面の多毛なども認められています。

※(臨床および比較は女性を対象として行われた試験もありますが、国内で発売されている濃度5%の外用薬は男性用であり、女性は濃度1%の外用薬が推奨されています)

添付文書の記載

起こり得る有害事象が関係部位ごとにまとめられています。

皮膚 頭皮の発疹・※発赤,かゆみ,かぶれ,ふけ,使用部位の熱感等
精神神経系 頭痛,気が遠くなる,めまい
循環器 胸の痛み,心拍が速くなる
代謝系 原因のわからない急激な体重増加,手足のむくみ
※頭皮以外にあらわれることもあり。

ミノキシジル内服薬

外用薬と同じ有効成分であるミノキシジルを内服します。基本的な発毛メカニズムは外用薬と同じですが、頭皮に塗布する外用薬に比べ、体内から作用する内服薬は効果が高いと考えられています。

ミノキシジル内服薬について詳しくはこちらをご覧ください。

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ガイドラインにおける記載

有用性を証明する臨床試験は行われていません。

添付文書の記載

ミノキシジル内服薬は厚生労働省未認可の薬剤であるため、日本語の添付文書はありません。

しかし、医師の判断で処方することは可能であり、AGAに対する効果も認められています。

国内における副作用の報告には勃起障害や性的不能、多毛や外用薬と同様に手足のむくみなどが確認されています。

また、ミノキシジルは降圧剤としての側面をもっているため、血圧を下げる作用があることもわかっています。

注入治療の副作用とリスク

注入治療とは薄毛に効果的とされる有効成分や、髪の毛の成長を促す「成長因子」を頭皮に直接注入する治療方法です。

成長因子注入治療について詳しくはこちらをご覧ください。

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注意点

注入治療は、行っているクリニックによって使われる有効成分や薬剤が異なります。注入方法も様々であるため、自身にあった治療方法を選択する必要があるでしょう。

注入する薬剤次第ではAGAの抑制効果が期待できないこともあり、治療薬との併用が必要になるかもしれません。

また、注入治療は保険適用外の自由診療であるため、治療費の相場が高くなる可能性を考慮しなければなりません。

副作用

治療薬と同じ有効成分を注入する場合、内服薬や外用薬と同様の副作用リスクが発生します。また注入方法によって、治療時に痛みや出血を伴ったり、まれに赤みや腫れ、痒みがあらわれる可能性があります。

自毛植毛の副作用とリスク

自分自身の髪の毛を脱毛症状があらわれている部位に移植する治療方法です。AGAの影響を受けづらいとされている前頭部や側頭部の髪の毛を移植することで薄毛を改善します。

注意点

自身の髪の毛を移植することで薄毛部位をカバーすることはできますが、AGAの進行を抑制することはできません。

植毛部位以外に症状があらわれる可能性も考えられます。また、薄毛の進行度が高い場合、すべての薄毛部位に植毛を施すことが困難な場合もあります。

自毛植毛は注入治療同様、保険適用外の自由診療であることも留意しておきましょう。

副作用

移植直後から数日の間に痛みや出血、吐き気や腫れ、痒みが報告されています。また移植数週間から数ヵ月の間に感染症や痺れ、ショックロス※4などの可能性もあるようです。

※4ショックロス
植毛した髪の毛の周囲に生えていた髪の毛が抜けてしまう現象です。術後1ヵ月~数ヵ月後に起きることがあります。 原因は不明であり、症状にも個人差がありますが、植毛による一時的な脱毛と考えられています。

AGA治療で副作用が起きたら

AGA治療には多くの種類が存在し、治療法や服用する薬剤によって起こり得る副作用も様々です。

用法・容量を守り、医師の処方による治療薬を服用していたとしても副作用の可能性はゼロではありません。

AGA治療を受けている場合は、普段以上に自身の体調や体の変化に気を使う必要があるでしょう。

また、副作用の有無を自身で判断することは危険です。万が一、少しでも異変や違和感を覚えたら、治療や薬剤の服用を中止し医師に相談することが賢明です。

状況に応じて治療薬や治療方法の変更、処方量の調整、経過観察など、適切な処置をしてもらいましょう。

副作用はAGA治療に限ったものではない

AGA治療に関する副作用やリスクについてまとめてきましたが、副作用はAGA治療に限ったものではありません。市販されている風邪薬や頭痛薬など、ほぼすべての薬剤に副作用は存在します。

国内で認可されているAGA治療薬は、症状の抑制や発毛の促進に高い水準の根拠があるものばかりであり、安全性も認められています。

副作用のリスクは決して高いものではありません。まずは病院やクリニックの医師に相談し、服用を検討してみてはいかがでしょうか。

記事の監修医師

正木 健太郎銀座総合美容クリニック 院長
【略歴】
・平成14年 岡山大学医学部卒
・平成20年 銀座総合美容クリニック 開院
【所属学会】
・日本形成外科学会 正会員
・日本臨床毛髪学会 正会員
・日本再生医療学会 正会員
・日本美容外科医師会 正会員

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