AGAはオンラインで治療可能?遠隔診療のメリットとデメリット

 
AGA治療における遠隔(オンライン)診療とは、医師の対面診察の代わりにスマホやPCを用いて、インターネットなどの通信技術を活用して医師と患者が遠隔(オンライン)で直接対面せずにAGAの診察や診断を行う方法です。

病院における一般的な診療方法は対面治療であり、AGA治療も同様に基本の診療方法は対面治療です。しかし、最近ニュースなどでスマホやパソコンのテレビ電話を利用した遠隔診療(オンライン診療)を耳にする機会が増えてきました。

では、AGA治療においての遠隔診療(オンライン診療)とは具体的にどのような診療方法で対面診察とは何が事なり、そのメリットとデメリットなどについて詳しく解説します。

遠隔診療(オンライン診療)とは

AGA治療に限らずそもそも遠隔診療(オンライン診療)とは、インターネットなどの通信技術を活用して医師と患者が直接対面せずに疾病の診察や診断を行う方法です。最近に耳にする機会が多く歴史がない方法に思う方も多いかもしれませんが、実は遠隔診療(オンライン診療)の歴史は古く、最初の遠隔診療(オンライン診療)ガイドライン策定は1997年に遡ります。

参考:情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について

「初診患者は原則対面」としながらも、遠隔診療(オンライン診療)が可能な患者の対象を例示し、「離島、へき地、在宅糖尿病患者等」という条件付で始まりました。その後、年々とそのガイドラインが改訂されていく中で「初診患者は原則対面」という条件に変わりは無いものの都心部においてもAGA治療や他の疾病でも遠隔診療(オンライン診療)が受けられるようになりました。

そして、近年のコロナ禍においては、2020年4月10日に新型コロナウィルス感染拡大予防に伴い、初診から遠隔診療(オンライン診療)が一時的に解禁になりましたが、今後の遠隔診療(オンライン診療)の指針に関しては厚生労働省と医師会で持続的に検討がされています。

参考:新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について

需要の背景

近年、パソコンやスマートフォンの急速な浸透に伴い直接病院やクリニックに通う必要のない遠隔診療(オンライン診療)の需要が拡大してきました。

厚生労働省は現状の需要を鑑み、遠隔によるオンライン診療やモニタリングによる治療を日常的な健康維持や疾病管理の水準が向上するとし、国として積極的に推進していく姿勢を見せています。

また、厚生労働省のHP上では「医療分野の情報化の推進について」における「遠隔診療(オンライン診療)」の項では、医療水準や利便性の向上、地方における医療格差の是正など、地域医療充実の観点から重要であると明言し、具体的な施策やシステムの導入状況を公開しています。

参考:医療分野の情報化の推進について |厚生労働省

医師法20条と遠隔診療(オンライン診療)の関係

医師法は医師全般の職務・資格などを規定した法律です。第20条では、医師が自ら診察しないで治療をすること、もしくは診察書および処方箋を交付することを原則禁止しています。

第20条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

引用元:医師法(昭和23年法律第201号)

遠隔診療は診察対象である患者と物理的な距離があることから、医師法第20条に抵触する可能性が示唆されました。対して厚生労働省は医師法第20条の解釈をまとめた「情報通信機器を用いた診療(遠隔診療)等に係る取扱いについて」を発出し、通知の中で遠隔診療が医師法第20条に違反しない旨を示しています。

1.医師法(昭和23年法律第201号)第20条における「診察」とは、問診、視診、触診、聴診その他手段の如何を問わないが、現代医学から見て、疾病に対して一応の診断を下し得る程度のものをいう。
2.直接の対面診療による場合と同等ではないにしてもこれに代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、遠隔診療を行うことは直ちに医師法第20条に抵触するものではない。

引用元:厚生労働省 情報通信機器を用いた診療(遠隔診療)等に係る取扱いについて

この様な数度の改変を経て対象となる患者の拡大や、テレビチャットや電子メール、SNS等のツールを利用した診療の許容など解釈が広義的となり、遠隔診療の基盤となるガイドラインが整備され現在に至っています。

何れにしても遠隔診療(オンライン診療)だからといって、病院のスタッフや看護師が薬の処方をしてよい訳ではなく、必ず医師の診察の上での薬の処方が義務付けられており、これはAGA治療であっても同様です。

遠隔診療(オンライン診療)を受けられる条件

遠隔診療(オンライン診療)は利便性の高い診療方法ですが、1997年(平成9年)に診療に際しては一定の留意事項※3が下記の通り存在しました。

● 初診や急性の疾患においては原則として対面診療を行うこと。
● 対面診療が可能である場合はこれによること。
● 離島やへき地など来診が困難である場合や、慢性疾患など過去の診療によって症状の安定しており、有事の際に連絡および対応体制が確保できること。
● 患者本人および家族に対して説明を行い、情報通信機器の使用方法など説明が可能であること。
● 個人情報の保護に関して患者側の意向を重要視すること。
● 情報通信機器の故障や不具合における対処方法を明確にしておくこと。
● 診療録の記載に関する旨を定めた医師法第24条の適用について対面診療と同様に行うこと。
● 診療に関する責任は対面診療同様に医師が負うこと。
● 医師の指示に従わないことで患者に何らかの被害が生じた場合は、自己責任である旨を事前に説明すること。
上述の留意事項は医師と患者、双方にとって診療を安全かつ円滑に行うために重要な項目であり、条件を満たすことがかなわない場合は遠隔による診療や診察を行うべきではないとされています。

※3「留意事項」
心に留めおきたい事柄

参考:情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について

また、留意事項にも記載が確認できるように、現在の遠隔診療(オンライン診療)は何らかの事情によって対面診療がかなわない場合の第二選択肢といった意味合いが強い診療方法です。遠隔診療(オンライン診療)の取り入れ方はクリニックによって様々であり医師の裁量によって判断されています。

そして、ここ数年では新型コロナウイルス感染症の感染拡大などの事由で、初診からも遠隔診療(オンライン診療)が解禁になるなど受診条件も大きく緩和される方向で調整がされています。

AGA治療における遠隔診療(オンライン診療)とは

他疾病と同様に、本来病院に通院し医師の診察の上で薬を処方してもらうといった流れでは無く、PCやスマホ等の情報通信機器を利用して、インターネットを介して医師の診察を受け、フィナステリドやデュタステリドなどのAGA治療薬を自宅などに郵送してもらう事が可能になります。

AGAクリニックにおける遠隔診療(オンライン診療)の流れ

遠隔診療(オンライン診療)は対面診療と違い、診療の流れがイメージしづらいかもしれません。この項では一般的な遠隔診療(オンライン診療)の流れをご紹介します。

診察の予約

基本的にAGAクリニックは対面と同様に遠隔診療(オンライン診療)も事前予約制の場合がほとんどです。クリニックが指定しているHPの専用の予約フォームやアプリ、タブレットを利用して診療予約を行います。

医師による診断

テレビ電話等の機能を使って医師による視診や問診が行われます。基本的に触診が行われないこと以外は対面診療と差はありません。症状の進行状態や患者から得られた情報を元に治療方法を決定します。

また、治療の開始が確定した段階でAGA治療を始める前に医師によって血液検査が必要と判断された場合には、遠隔診療専用の血液検査キットを配送しているクリニックもあります。

なお、AGAクリニックの場合は医師の診察の前にカウンセラーによるカウンセリングを実施する場合が多いです。そしてカウンセラーが白衣を着ている場合には医師なのか、医師免許を持たないカウンセラーなのかが画面越しだと不明瞭になる場合があるので、必ず診察を受ける際には相手の情報をしっかりと確認しましょう。

AGA治療薬の処方

遠隔診療によって行われる診療はフィナステリドなどの内服薬やミノキシジルの外用薬を用いた投薬治療を前提としています。遠隔治療によって医師から処方された治療薬は、指定した住所に配送してもらうことができます。

AGAの内服薬について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

AGAの外用薬について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

AGA治療には薬剤を使用する以外にも効果的な方法が存在しますが、治療を行うにあたって施術や外科手術が必要な場合は通院が必要になります。遠隔診療のみで治療を進めることができるのは薬剤を用いる治療方法だけです。

AGA治療における遠隔診療のメリット

遠隔診療(オンライン診療)は様々な疾病に対して用いられる診療方法であり、AGA治療も例外ではありません。AGA治療における遠隔診療(オンライン診療)のメリットも多く存在します。遠隔診療(オンライン診療)最大のメリットは通院の負担や時間を短縮できることです。AGA専門のクリニックは地域によって数に差があります。

自力での通院が難しい遠方居住者や、高い交通費や長い時間を費やしてクリニックに通わざるを得ない方にとっては嬉しいサービスでしょう。

また在宅で可能な遠隔診療(オンライン診療)は、他人の目が気になることもなく安心して医師の診療を受けることができるため、プライバシー面を憂慮される方にとってメリットといえるかもしれません。

また、コロナ禍においては外出することなく医師の診察や薬の処方を受けられることは、コロナウィルスの感染防止という側面においては最良な選択肢の1つと言えるでしょう。

AGA治療における遠隔診療のデメリット

モニター越しに患者の状態を確認する遠隔診療は視診が難しく触診もできないため、対面診療に比べ患者の頭皮や髪の毛の状態を正確に把握することが難しいでしょう。また、薄毛の原因は様々であり必ずしもAGAに罹患しているとは限りません。そして、AGAに有効な治療薬のプロペシア(フィナステリド)も薄毛の症状の中でもAGAにのみ効果がある薬ですので、最初の医師によるAGAである確定診断を行うためには対面診療が確実と考えられています。

また、治療による副作用や体調面の不安があった場合にも、画面越しでの医師とのコミュニケーションには限界があります。

そして、治療方法が限定されてしまうこともデメリットの1つです。投薬治療はAGA対策における第一選択とされていますが、症状の進行状況次第では通院による他の治療方法が最善である可能性もあります。

AGA治療における対面診療と遠隔診療の比較

まずウィズコロナとアフターコロナという生活環境によって、その考え方は大きく異なります。ウィズコロナにおいては遠隔診療(オンライン診療)は感染拡大防止という側面を考えると最良の診察選択の1つであると考えられます。

しかし、アフターコロナにおいても遠隔診療(オンライン診療)がAGA治療においてベストかと考えると、そうではありません。AGAの診断は「問診」「視診」「触診」が基本とされています。3つの条件を満たす診療方法は対面診療であり、正確な診察、診断を決定するために必要な手段です。

今後のアフターコロナ安全性と有効性を考慮した場合、可能であれば対面診療を選択するべきでしょう。

AGA治療における遠隔診療の展望

AGA治療における対面治療の重要性は今後も変わらないでしょう。

正確な診断を決定するためには患者自身の状態を直接確認する以上の方法はありませんが、中には諸事情によって通院が難しい方も現実に存在します。

AGAは長い期間の治療が必要であり効果を実感するためには継続治療が欠かせないため、通院の手間のために治療をやめてしまうと、十分な治療効果を得ることが出来ません。

そのような方に対して、遠隔診療はAGA治療の幅を広げる新しい方法といえるのではないでしょうか。

記事の監修医師

正木 健太郎銀座総合美容クリニック 院長
【略歴】
・平成14年 岡山大学医学部卒
・平成20年 銀座総合美容クリニック 開院
【所属学会】
・日本形成外科学会 正会員
・日本臨床毛髪学会 正会員
・日本再生医療学会 正会員
・日本美容外科医師会 正会員

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