育毛メソセラピーの効果・施術方法・副作用について

 
AGA治療において自身に最適な治療方法を知っておくことはとても重要です。

内服薬による治療が一般的な方法とされているAGA対策ですが、そんな中、注目されている選択肢に「育毛メソセラピー」といわれる治療方法があります。

発毛治療において知名度も上がってきた治療である育毛メソセラピー。具体的にどのような治療方法なのでしょうか?

メソセラピーとは

メソセラピーとは1950年代にフランスの博士によって提唱された治療概念といわれています。

メソとは「中胚葉」を指し、「セラピー」とは治療を意味しています。中胚葉とは生物発生段階での特定の部位を指し、将来的に脂肪や真皮などに分化する器官です。

つまり、メソセラピー治療とは脂肪や真皮に特殊な技法を用いて薬剤を投与する治療方法を指しています。

メソセラピーの用途は様々で、リフティングや美白、脂肪溶解などの美容目的の施術に使用されることが多い治療方法です。

育毛においては、頭皮に対して直接的に薬剤を投与する治療を、総称してメソセラピーと呼びます。

メソセラピーとは注入治療全体を広く表す表現で、注入する有効成分や薬剤は治療を行っているクリニックや美容皮膚科によって異なります。また、治療の呼称も「毛髪再生メソセラピー」や「毛髪再生療法」、クリニックオリジナルの治療名など様々です。

AGA治療のメソセラピーに用いられる薬剤

クリニックや美容皮膚科によって使用する薬剤には違いがあるメソセラピーですが、具体的にどのような薬剤が使用されているのでしょうか?

もっとも一般的な成分は内服薬治療の薬剤です。フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった治療薬と同様の成分を注入することで薄毛の改善を図ります。

また、治療薬以外の成分として、タンパク質やミネラル、ビタミン類など、髪の毛の健康と成長に必要な栄養素を注入する場合も多いです。

その中でも重要な成分の一つとなるのが、「成長因子(グロースファクター)」と呼ばれるたんぱく質です。

成長因子(グロースファクター)とは?

体内で特定の細胞増殖や分化促進といった働きをするタンパク質の総称です。「増殖因子」、「細胞増殖因子」と呼称される場合もあります。

一概に成長因子といってもその種類は多岐におよびます。育毛メソセラピーに使用される成長因子に明確な規定はありませんが、代表的な成長因子は以下の通りです。

【FGF(繊維芽細胞増殖因子)】

頭皮や髪の毛を健康に保つ働きをする成長因子でタンパク質の一種です。体内の皮膚や舌、口腔粘膜など様々な角質層にFGFを受け取る為の受容体が備わっています。

【KGF(ケラチン細胞増殖因子)】

皮膚の角化表皮細胞など、上皮系細胞の成長因子でありタンパク質の一種です。主に上皮の形成に重要な役割果たしていると考えられています。

【IGF(インスリン様成長因子)】

インスリンに非常に似た構造を持つ成長因子で、インスリン様成長因子とも呼ばれています。肝臓や他の組織(骨格筋など)で産生され、IGFは細胞の増殖を促す作用があり、髪の毛のヘアサイクルや成長に関する細胞にも関係するといわれています。

AGAに対する作用メカニズムと効果

AGAは、髪の毛の生え変わりサイクルであるヘアサイクル(毛周期)が乱れることによって発症する脱毛症です。

体内で生成された悪玉男性ホルモン「DHT」は、男性ホルモン受容体である「アンドロゲンレセプター」と結合することによって、髪の毛の元である毛母細胞の分裂を抑制し、ヘアサイクルにおける「成長期」という髪が長く伸びるステップを短縮させるように働きかけます。

DHTとアンドロゲンレセプター

DHTの影響を受けた髪の毛は満足に成長しないまま産毛や細い髪などの未成熟な髪となり、その割合が高くなることで薄毛は進行していくのです。

AGAのメカニズムについてはこちらをご覧ください。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

メソセラピーのアプローチ

フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった治療薬の成分を注入する場合、作用機序はこれらの治療薬と同じです。

AGAに対して、進行の抑制と発毛の促進という2つの観点から症状改善に努めます。有効成分の注入によって髪が太く成長したり、ヘアサイクルが回復することで、治療薬と同様の効果が期待できます。

タンパク質やビタミン、ミネラルなどの注入は、AGAに対する直接的なアプローチではありません。あくまでも髪の毛や頭皮の状態を健康に保つことが目的の補助的な注入成分です。

成長因子(グロースファクター)の注入効果については、信憑性のある臨床試験や比較実験は行われていないため、効果を証明することはできません。

しかし、元々成長因子には細胞増殖効果や、皮膚を成長させるホルモンの活性効果が認められています。このような特徴をもつ成長因子を注入することで発毛や育毛に繋がる可能性は十分に考えられるでしょう。

メソセラピーの治療方法

メソセラピーに代表される注入治療には注入方法に様々な種類が存在します。現在では注射器を使用しない方法も浸透しており、自身にあった方法※を選択することができます。

主な注入治療の種類

※スマートフォンでご覧の場合はこの表を横にスライドができます。

使用器具 方法と特徴 痛み
注射器 パピュール法(注射針で頭皮に薬剤を注射。表皮と真皮の間に治療薬を注入し有効成分を浸透させる方法) 強めの痛み
注射器 ナパージュ法(注射針で頭皮に薬剤を注射。パピュール法に比べ、細かく注射する方法) 痛みを伴う
針のついたローラー ダーマローラー法(針付きのローラーを頭皮上で転がすことによって薬剤を注入する方法) やや痛む
レーザー照射 フラクショナルレーザー法(針を使わず、特殊なレーザーで頭皮に穴を開け、薬剤を注入する方法) ほぼなし
電気穿孔 エレクトロポーション法(電気パルスによって頭皮のに隙間を開け薬剤を浸透させる方法) ほぼなし

副作用

育毛メソセラピーは比較的副作用が少ない治療方法とされています。成長因子や栄養素として注入される成分は、身体にとって害のない成分であり拒絶反応やアレルギー反応が起きづらいという特徴があるためです。

副作用としては治療後に頭皮の痛みや痒み、発疹などの皮膚症状、また頭部の腫れや赤み、術後の一時的な痛みや内出血が確認されたケースもあります。

しかしどれも軽度なものであり、重篤な副作用は認められていません。

例外として、内服薬での治療と同様の成分を注入する場合には、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルと同様の副作用を発症する可能性があります。

注入治療に際しては副作用を事前に確認することが大切です。万が一、副作用の症状が現れた場合は必ず医師に相談しましょう。

治療期間と費用

メソセラピーの治療は1回で完了するわけではありません。一定の期間を費やして継続的に治療を行う必要があります。具体的な回数や治療期間はクリニックや美容皮膚科により様々です。

回数によって治療期間が決められている場合が多く、一般的に月に1~4回程度の治療を半年~1年間継続します。

費用は治療の回数によって前後します。一般的に少ない回数であれば10万円以下であることが多く、回数次第で100万円以上の費用がかかることもあります。

HARG療法との違い

注入治療の総称である育毛メソセラピーは、成長因子や各種薬剤を頭皮に注入してAGAの改善をはかる治療方法ですが、同じ注入治療に「HARG療法」といわれる方法も存在します。

育毛メソセラピーと同様に、髪の毛に有用とされる成長因子や栄養素を注入し治療は行われます。

一見すると区別しづらい2つの注入治療ですが、育毛メソセラピーはAGAにおける注入治療全体の一般的な呼称(総称)です。

一方、HARG療法は韓国で開発された特定の成長因子の組み合わせの育毛メソセラピーのブランド名を指します。

その為、HARG療法で治療を行っているクリニックは全て同一の「HARGカクテル」と呼ばれる同一の成長因子を組み合わせた薬剤を用いて治療を実施しています。

名称こそは異なるものの特定の成長因子を組み合わせて使用するHARG療法、クリニック毎に成長因子の組み合わせが異なる育毛メソセラピーですが、注入される薬剤に差異はないため、期待される効果、副作用に関しても同様と言えます。

ですので、HARG療法は育毛メソセラピーの一部と考えて、何ら問題はありません。

HARG療法について詳しくはこちらをご覧ください。

投薬治療との比較

AGA治療における最も一般的な治療は内服薬での治療です。

治療効果や安全性が証明され、厚生労働省から認可を得た薬剤を用いる内服薬での治療は、日本皮膚科学会が定める「男性型及び女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」においても、その推奨度はもっとも高い評価「A」とされており、現在のAGA治療において第1選択とされている方法です。

AGAの投薬治療についてはこちらをご覧ください。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

育毛メソセラピーは薬剤を用いた治療に比べ治療の歴史が浅く、国内において信憑性の高い臨床試験や比較実験は満足に行われていません。
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン

No.CQ13:成長因子導入及び細胞移植療法は有用か
出展:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

上述のガイドラインでは、先進医療の段階にあり、安全性なども含めその有効性は決して十分に検証されているとはいえないとして、推奨度は「C2」と結論づけられています。

現状では十分な臨床がなされているとは言い難い育毛メソセラピーですが、治療薬の使用に比べ副作用が少ないことや、まだまだ治療の選択肢が少ない頭髪治療において、新たな選択肢となり得る治療です。

今後さらなる医療の発展や臨床が進めば、メソセラピーによるAGA治療も一般的になるかもしれません。

補助治療としてのメソセラピー

現在の育毛メソセラピーは内服薬治療のサポート的に行われることが多いでしょう。

AGA治療の第1選択は内服薬での治療であり、専門のクリニックや美容皮膚科で治療をはじめる場合、内服薬治療からはじめる医院が多いようです。

内服薬治療のデメリットの1つに効果の実感に時間がかかることが挙げられます。

内服薬の効果は少なくとも数ヵ月、長ければ半年〜1年程度は治療を継続することが前提となっています。なるべく早く効果を実感したい方にとっては長い期間と感じるかもしれません。

そのような場合、内服薬治療のサポートとして育毛メソセラピーを行うのも、一つの考え方です。ご興味がある方は専門のクリニックや美容皮膚科などで説明を受けてみてはいかがでしょうか。

記事の監修医師

正木 健太郎銀座総合美容クリニック 院長
【略歴】
・平成14年 岡山大学医学部卒
・平成20年 銀座総合美容クリニック 開院
【所属学会】
・日本形成外科学会 正会員
・日本臨床毛髪学会 正会員
・日本再生医療学会 正会員
・日本美容外科医師会 正会員

監修医師の詳細情報