AGA治療は健康保険や医療費控除が適用されるのか

 
AGA(男性型脱毛症)は頭頂部と前頭部、いわゆるつむじと前髪の生え際から抜け毛が増えて、徐々に頭皮が透けるようになる進行性の薄毛の疾患です。

AGA(男性型脱毛症)のメカニズムについて詳しくはこちらをご覧ください。

AGAとは?薄毛になるメカニズムや原因と治療法

このAGA(男性型脱毛症)治療は一般的に毎月数千円から数万円の治療費かかり、ケースによっては数年に渡って治療を行う場合があります。

一般的な風邪やケガにより病院で治療した場合は、健康保険や医療費控除などの制度を活用することで、治療費用の金銭面の負担を軽減することが可能ですが、そういった健康保険や医療費控除をAGA治療でも活用できるのかを紹介していきたいと思います。

AGA治療と健康保険

まずAGA治療が健康保険に適用されるか否かの前に健康保険そのものの仕組みを簡単に解説します。日本には病気や怪我で医療機関を受診する際に、必要な医療費の一部を負担してくれる「公的医療保険制度」※1の1種であり、すべての国民が原則として公的医療保険に加入することになっています(国民皆保険制度)。

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健康保険 サラリーマン、OLなど
国民健康保険 自営業者、フリーランス、など
共済組合 公務員など
船員保険 船員

上述の保険には適用される医療の範囲に指定があり、保険に加入している状況で定められた範囲内の治療を受けた場合、医療費の自己負担は原則最大3割までとされています。(年齢や所得によって減少する場合あり)

保険診療では病気や怪我に対する治療内容が決まっているため、全国すべての医療機関で同じ金額で同じ治療を受けることができます。

※1参考:「我が国の医療保険について」

AGA治療は健康保険の適用外

健康保険にAGA治療は適用されません。AGA治療が保険適用されない理由として、AGA治療が「自由診療」に分類される為です。

自由診療とは厚生労働省により公的な医療保険が適用されない治療や薬剤による医療行為を指し、治療にかかる医療費はすべて自己負担となります。

自由診療に分類される治療は、AGA治療や歯列矯正、脂肪吸引のような病気や怪我の治療が目的でない医療行為や、厚生労働省の認可が下りていない医薬品、または保険適用外の医薬品を使用する場合に適用されます。

その為、どの病院であってもAGA治療に代表される全ての薄毛治療は自由診療扱いとなり、健康保険に適用されません。

自由診療は保険診療制度による費用負担が期待できないため、治療内容によって高額な医療費が必要になる可能性がある反面、治療範囲に指定がなく、最新の先進医療や自分自身にあった治療方法を選ぶことができるといったメリットも存在します。

なお、AGA治療以外で保険対象外となっている自由診療には以下のような治療が存在します。

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【内科】 人間ドック、内視鏡検査、癌検査(一部)など
【脳神経外科】 脳ドック、脳MRI(一部)など
【眼科】 白内障検査、レーシック手術など
【歯科】 インプラント、歯列矯正など

AGA治療と医療費控除

まずAGA治療が医療費控除に適用されるか否かの前に医療費控除そのものの仕組みを簡単に解説します。医療費控除とは下記の要件が国税庁により定められています。

その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

引用元:国税庁:医療費を支払ったとき(医療費控除より抜粋

上述の説明を医療費控除の対象となる医療費を要件ごとに記載すると以下の通りです。

  • 納税者が、自分自身または常に生活費等を支出して扶養している配偶者や、その他の親族のために支払った医療費であること。
  • その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。(未払いの医療費は、実際に支払った年の医療費控除の対象となる)

年間で支払った医療費が一定額を超える時、その医療費を基準に計算された金額の所得控除を受けることができますが、対象となる金額には制限があります。

医療費控除の上限金額は200万円で、その年に支払った医療費の合計から保険金などで補填される金額(生命保険契約や健康保険などで支給される給付金)と10万円(その年の総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額の5%)を差し引いた金額が控除対象金額となります。

【計算式】
その年に支払った医療費の合計 ➖ 補填される金額 ➖1 0万円 = 控除対象金額

なお、医療費控除の対象となる医療費は以下の様な物があります。

  • 医師による診療、診断または、治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれない。)
  • 治療または療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪薬などの購入代金は医療費となるが、ビタミン剤やサプリメントなどの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費とならない。)
  • 医師による診療や診察、治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯、眼鏡などの購入に必要な費用
  • あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(カイロプラクティックやリラクゼーション整体など、疲労の回復や癒し効果、リラックス目的など医学的治療に直接関係のないものは含まれない。)

医療費控除の対象範囲は非常に細かく設定されているため、自己判断することは難しく、国税庁の公式HPには医療費控除の対象になる医療費の詳細が明示されていますので、詳しく確認したい場合はそちらをご覧ください。

AGA治療は医療費控除の適用外

特定の要件にあてはまる場合に支払った医療費の合計金額から一定の金額を差し引く医療費控除ですが、対象となる医療費を記載した国税庁のHPにはAGA治療に関する具体的な記載はありません。しかし、医療費控除は病気の治療を目的とした行為に対して発生した費用が対象となります。

AGA治療は美容目的の自由診療であるため、方法や手術の有無に関わらず、基本的にすべて医療費控除の対象外と考えて良いでしょう。

しかしながら、実際に医療費控除の申請を行う際については様々な判断が為されている実情もあります。よって、基本的な考え方としてはAGA治療は医療費控除対象外ですが、最終的な判断は管轄の税務署などに確認してみる必要があります。

AGA治療と健康保険や医療費控除の考え方

AGA治療において健康保険の考え方は、どの病院であってもAGA治療を代表する薄毛に何かしら治療を施し症状を改善する施術や治療に関しては、全て健康保険の適用外となり全額が自己負担になります。A病院だと健康保険適用される、B病院だと健康保険の適用外になる等、医療機関によってその判断が異なることはありません。

AGA治療において医療費控除に関しては、基本的に医療費控除対象外となりますが、ケースによっては薄毛の原因に何らかの病気や疾患が関係している場合等において、病気に対する治療費と判断され控除の対象になる可能性があります。ただし明確な基準はなく、状況により税理士や管轄の税務署によって判断されている現状です。医療費控除の可否が曖昧な場合は、担当の税務署などに相談してみましょう。

記事の監修医師

正木 健太郎銀座総合美容クリニック 院長
【略歴】
・平成14年 岡山大学医学部卒
・平成20年 銀座総合美容クリニック 開院
【所属学会】
・日本形成外科学会 正会員
・日本臨床毛髪学会 正会員
・日本再生医療学会 正会員
・日本美容外科医師会 正会員

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