育毛剤の効果とは AGA治療薬や発毛剤との違い

 
AGA(男性型脱毛症)にはクリニックで処方される治療薬以外にも、薄毛の改善効果や予防効果をうたった市販の商品が数多く販売されています。その中でも最も目にする機会の多いのが、一般的に「育毛剤」と呼ばれる商品であり、薬局やドラッグストアで気軽に購入することができます。

皆さんの中には「AGAクリニックに通うとなるとお金も時間もかかるし、まずは育毛剤を試してみよう」と考えている方も非常に多いかと思います。しかし、この選択はAGA治療という側面においてはお金も時間も無駄にしてしまうケースがあります。

この記事ではAGAにおいて育毛剤の効果とはどういう物が期待できるのか、またAGA治療に有効なのか、そして病院で処方されるAGA治療薬と育毛剤の違いについて解説します。

育毛剤とは

育毛剤の「育毛」の言葉の意味は既に生えている髪の毛を「髪の毛を太く丈夫に育てること」であり、新しく髪を生やす「発毛」とは異なります。

その言葉通りに、一般に販売されている育毛剤は抜け毛予防や頭皮や髪の毛の健康状態維持を目的としています。一般に市場に出回っている育毛剤と名のつく商品は、厚労省により指定された特定の有効成分を配合し、医薬部外品に指定されています。

なお、最近インターネットでは一部のメーカーが「育毛剤で髪が生えた」と誤認させる広告も多く出回っておりますが、あの様な広告は医学的な根拠は一切ありませんし、また効果が無い物を効果がある様に宣伝すること自体が薬機法(旧・薬事法)違反です。しっかりと育毛の効果や役割を理解しておくことは重要です。

育毛剤の代表的な含有成分

育毛剤に含有されている成分は商品により大きく異なり多岐におよびます。以下に比較的育毛剤に配合されるケースが多い成分をご紹介します。

● 【センブリエキス】
リンドウ科に属する植物から抽出したエキス。血行促進作用があるとされ育毛剤の成分に用いられることが多い。

● 【グリチルリチン酸ジカリウム】
甘草の根茎から抽出したグリチルリチン酸の化合物。抗炎症作用や抗アレルギー作用があるとされる。フケや痒みを防止する目的で育毛剤に配合されることがある。

● 【トコフェロール】
ビタミンEの別称。植物や藻類によって合成され、抗酸化作用や血行促進作用があるとされている。

育毛剤の効果

育毛剤の目的はあくまでも頭皮や髪の毛の健康状態を維持することなので、現状の頭皮環境を改善及び健康を維持したい方にとっては有効な手段となります。

あくまでも薄毛の予防に育毛剤を使ったり、少し抜け毛が気になったきたかなといった、薄毛の初期段階において、その症状や進行を緩和させる為には有効な手段です。

しかし、男性の多くの薄毛の原因であるAGA(男性型脱毛症)に代表される何らかの脱毛疾患を発症している場合や、顕著に抜け毛が増えて毛髪のボリュームが低下して薄毛が進行している場合には、育毛剤のみによって改善効果を期待するのは出来ません。

AGAは体内に存在する男性ホルモンの一種である「テストステロン」が、悪玉の男性ホルモン(DHT)に変換し、ヘアサイクルが乱され、ヘアサイクル中に存在する「成長期」を十分に維持することができなくなることがメカニズムとして解明しており、育毛剤を使っても体内のホルモンにアプローチする術がない為、その医学的な根拠に基づく有効性はありません。

AGAのメカニズムについて詳しくはこちらをご覧ください。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

また、育毛剤は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」※1によって「医薬部外品」※2に指定されています。医薬部外品とは医薬品※3と化粧品の中間的な分類で、予防効果や改善効果など人体に対する作用が緩やかなものと定義されています。

※1「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」
医薬品、医療機器等の品質と有効性および安全性を担保するため運用などについて定めた法律。

※2「医薬部外品」
医薬品と化粧品の中間的な分類で、人体に対する作用の緩やかなもの。薬局・薬店などで購入することができる。

※3「医薬品」
人や動物の疾患や病気に対して治療や予防を目的として与える薬品。内服薬、外用薬、注射剤などが存在する。

育毛剤が医薬部外品に分類され「人体に対する作用の緩やかなもの」ということからも、その有効性がどの程度の物なのかを推し量ることが出来ます。

AGA治療薬と育毛剤の違い

育毛剤と異なりAGAの治療方法は、AGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えるというAGA発症のメカニズムに直接アプローチして薄毛の進行を抑える医学的な根拠に基づいた治療方法です。

AGAに有効とされるAGA治療薬は様々ですが、「フィナステリド」および「デュタステリド」は、AGA治療専門のクリニックにおいても内服薬として処方される機会の多い代表的なAGA治療薬です。

フィナステリドおよびデュタステリドはAGA症状の進行を抑制する効果が認められており、定期的な継続服用によってAGAの改善効果を期待することができます。

フィナステリドについて詳しくはこちらをご覧ください。

デュタステリドについて詳しくはこちらをご覧ください。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

この様に解明されているAGAのメカニズムに対して、原因であるホルモンの働きを阻害することで、医学的な根拠を持ってA治療をすることができるのがAGA治療薬であり、育毛剤は頭皮や毛根に対して緩やかに作用する成分が入っているだけに留まる為、その作用のメカニズムや効果に明確な違いがあります。

発毛剤と育毛剤の違い

最近テレビのCMなどで見る機会が増えてきた「発毛剤」は国内で唯一「発毛」が認められているミノキシジルという成分を配合し、ミノキシジル外用薬とも呼ばれます。この発毛剤は市販されている物と濃度や添加物に違いはありますがAGAクリニックでも処方されている薬です。

ミノキシジル外用薬について詳しくはこちらをご覧ください。

このミノキシジルを配合した外用薬(発毛剤)は「医薬品」の中の「第1類医薬品」※5に指定されていますが、育毛剤は医薬部外品に指定されています。

※5「第1類医薬品」
一般用医薬品の1つ。一般用医薬品に存在するリスクに応じた3つの区分の中で、最も副作用の可能性が高い医薬品。購入する際は、薬剤師から指導および文書の情報提供が義務付けられている医薬品。

育毛剤と発毛剤(ミノキシジル外用薬)の違いまとめると下記の通りです。

※スマートフォンでご覧の場合はこの表を横にスライドができます。

育毛剤 ミノキシジル配合外用薬(発毛剤)
分類 医薬部外品 第1類医薬品
用途 抜け毛防止 AGAの治療
対象 健常な毛髪 男性型脱毛症

この様に、育毛と同じ様に薬局やドラッグストアで購入できる発毛剤と比較しても、対象となる症状や効果は大きく異なります。

正しい知識でAGA治療を

AGA治療において有効な方法は、投薬治療によりDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を防ぐことで、育毛剤で頭髪の健康を維持する事ではありません。薄毛の予防であれば育毛剤は有効ではありますが、薄毛の症状が顕著に現れた状態では改善が難しいのが現状です。

また、抜け毛や薄毛の症状も軽いし「未だAGAクリニックには行くには早い」「でも薄毛対策もしっかりしたい」という方は基礎疾患が無いのであれば、育毛剤ではなく発毛剤を試される方が良いでしょう。

髪の毛のヘアサイクル(毛周期)は無限に繰り返すわけではなく、生涯で回数が決まっています。細胞は決められた回数しか再生することができないため髪の毛にも寿命が存在するのです。

ヘアサイクルについて詳しくはこちらをご覧ください。

AGAを発症するとヘアサイクル(毛周期)は短縮され、健全な状態に比べてヘアサイクル(毛周期)の消費が早まってしまい、毛周期が完全に終わってしまった頭皮からは髪の毛を生やすことは出来ません。

その為、薄毛が気になり始めたら、早めに専門家である医師に相談するが重要です。

記事の監修医師

正木 健太郎銀座総合美容クリニック 院長
【略歴】
・平成14年 岡山大学医学部卒
・平成20年 銀座総合美容クリニック 開院
【所属学会】
・日本形成外科学会 正会員
・日本臨床毛髪学会 正会員
・日本再生医療学会 正会員
・日本美容外科医師会 正会員

監修医師の詳細情報